主な実績
イチゴアントシアニン色素の培養技術の確立
新潟県食品研究センターの指導の下、イチゴの色素細胞を大量培養することで、イチゴに含まれるアントシアニン成分(シアニジン−3−グルコシドほか)を高濃度に培養する技術を確立しました。
合成植物ホルモン無添加での培養法を確立したことで、安全でかつ効率的な生産を通年で行うことが可能です。近年、アントシアニンは色素としてだけではなく、抗酸化能を始めとした機能性成分としての利用も期待されています。

サイクロデキストリンの応用
サイクロデキストリン(CD)とは、馬鈴薯でん粉を原料に用いて得られた糖類の一つで、環状オリゴ糖とも呼ばれます。
構造は、6〜8個のブドウ糖分子がつながってドーナッツのような環状になっており、輪の外側は親水性、内側は親油性を示します。
さまざまな分子をナノレベルで包み込む性質 (包接性)を利用して、風味の保持や色の退色抑制に使用されます。その一例として農産加工品の価値向上を目的とした取り組みをご紹介します。

枝豆の機械定植に適した凝固剤の開発
従来のエダマメセル苗は根鉢形成が悪く、崩れやすい課題に対して、海草由来の多糖類を浸漬処理することで、機械移植に対応した移植作業の省力軽労化が可能な1剤式を開発しました。

ポリフェノールによる渋味を緩和する酵母の利用
<酵母の由来>
新潟県産柿「平核無」の果実より酵母を分離

<安全性について>
新潟県食品研究センターの指導の下、FDAの設けるGRASリストに含まれる酵母Saccharomyces cerevisiaeであることをITS領域のDNA解析により確認済みです。
H29.8〜 新潟県食品研究センターと共同研究開始
Saccharomyces cerevisiae TCH1株 (特許出願中)
揚げせんの吸油抑制素材の提案
揚げ煎餅は美味しいのですが、油分が多く、カロリーを気にされる方は敬遠される傾向にあります。また、食用油脂はここ数年値上がりが大きく、この2点から揚げ煎の吸油を抑えるものを検討してみました。
いろいろなものを試し、ある種の食物繊維が有効ではないかと考え、試作を繰り返しました。
その結果、ある食物繊維を練り込むと従来のものより、25%ほど吸油率を抑えることが出来ました。
米菓メーカーにその結果を持ち込み、一定の評価をもらいました。

嚥下困難対応食品の研究
<新潟大学大学院 医歯学総合研究科との共同研究を実施>
嚥下が困難な方が食べる食品は、栄養面を重視した流動食が多いという課題を、見た目や味といった食べる楽しみを含めた複合的な「おいしさ」の提供で解決できないか、と嚥下困難にも対応した食品の開発を行いました。その一例として「甘酒ゼリー」の取り組みをご紹介します。

<科学的な手法でデザインされたゼリー>
特徴1:飲み込みやすく、むせにくい物性強度に設計
とろみを調整することで、まとまりをもたせました。官能評価試験では、喉の残留感の無さなどの評価が高い結果が得られました。
特徴2:伝統的な発酵食品である甘酒がベース
古くから「ハレの日」に親しまれてきた甘酒の香りや甘みが、流動食だけでは味わいにくかった食べる喜びや楽しみを呼び起こします。